ある日、ふと思い出した昔の暖かい思い出。 そんな事を小説にしてみたい! そんな男の場所です。


スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


「腕試し」
Sa「まもなく2週目終了」

B「了解…すごい加速だ!脳が後ろに吹っ飛ばされるかと思ったぜ」

彼の言葉に緊張が感じられた。サトウが見ている脳波でもそれがわかった。
だが、サトウが思っているよりも、彼は落ち着いてるのが、それと同時にわかった。

Sa(ただの金持ちならこうはいかないよな…)

そんな事を考えていたサトウの上空を、またZが通過していった。

管制官「ブルーさん!いい加減にしてください!」

B「ハハハ」

Sa「余裕ですねブルーさん…次は模擬戦を行います」

B「了解」

ウェブライダー形態からMSモードにチェンジすると、グレイ・ブルーのカメラアイが闇の中で光った。

Sa「モニターに敵を表示します。その空間には実際には敵はいませんので、安心して戦ってください」

B「シュミレーションねぇ。どうせなら模擬戦らしく出してくれねぇかな?MSもテストパイロットもいんだろ?」

Sa「これはテストなんです。万が一の事でもあったら私の首が飛ぶんですから…我慢してください」

B「へいへい。やりゃ~いいんでしょやりゃあ」

Sa「お願いしますね」

PP-

ブルーがそのまま飛行を続けていると、正面に反応があった。

B「あれか…」

正面に3機。並んで飛行してくるMSが見える。

RGM-79R ジムⅡが2機
MSA-003 ネモが1機

B「ん~~どうも見慣れた機体を攻撃するっていうのは気分がよくないな」

そう言いつつも、彼は乾いた唇を舐め、手を鳴らした。

B「どいつから片付けるか…な」

グレイ・ブルーが月の白い大地に立つと、背部にある大型ビームソードを右手に構え、左手で一番左にいたジムⅡを指差した。

B「まずはテメェだ」

そう言い終えるとグレイ・ブルーの脚部、スタビライザーのバーニアが勢いよく火を噴いた。

3機は各機散開し、宇宙の闇の中でブースターの火の跡が広がっていった。

ブルーがファーストターゲットとして決めたジムⅡにロックサイトが重なる。

B「ファーストターゲットをアルファ1と指定、これより攻撃に移る」

ロックオンされたジムⅡがさらに左側に移動し、残りの2機がブルーをロックしてきたのが、コックピット内に鳴り響く警報がブルーに事実を教える。

B「ハッ!遅ぇんだよ!」

グレイをロックしている2機が攻撃態勢に入る前。一気に加速したグレイ・ブルーとアルファ1との距離は、既に彼の間合いに入っていた。

PPP---

アルファ1からのロックオンと攻撃の警報が鳴り響く。

シュミレーションで実際には存在しないビームの光が、グレイブルーの右側に流れていく。

B「お?それで攻撃のつもりか?威嚇にもならねぇぞ!」

実際には数秒前、グレイブルーが存在していた空間に放たれたビームは、完全にグレイの今現在いる場所とは離れていた。

そして。

B「ライフルに頼って戦闘するなっつーの!!男なら!!」

さらに加速したグレイブルーはアルファ1=ジムⅡの眼前にまで一気に距離を縮め…

ライフルを先ほど撃った方向に構えたままの状態で動く余裕がなかったのか、それとも、早すぎる動きに対応できなかったのか…

ほぼ無抵抗のまま、グレイの振り下ろされた右手のサーベルによって真っ二つにされた。

B「接近戦で戦えよっと。まずは1機目、次は…」

彼の言葉を遮るように、次々とビームの光が、グレイの右、左に流れていく。もちろん、シュミレーションとはいえ、手加減はない。数秒前にグレイがいた空間だ。

B「ったく!どいつもこいつもライフル、ライフル…」

彼は独り言を言いながらスロットルを前に倒し、セカンドターゲットを指定していた。

B「次はテメェだ。セカンドターゲットを奥にいるジムⅡに、アルファ2と指定」

ジムⅡの名前が「アルファ2」となり、再びブースターの火が上がる。

B「臆病者が!離れてりゃあ安全だと思ったか!?」

灰色のZガンダムが勢いよく加速する。その間にも、ネモとジムⅡはビームライフルで距離を測りながら攻撃を加えている。が。

ビームが流れていくのは、何もない空間ばかりだ。

ネモは一旦高度を高くし、グレイの上方から攻撃を開始、ジムⅡは距離を取るため後退を開始した。

しかし

ジムの後退速度は、突進してくるグレイブルーの速度に比べると止まっているかのような速度で、ブルーの先ほどの言葉の通り、臆病者が臆病風に吹かれたかのように、グレイに背を向けて、全速で逃げようとした。

B「!?おいおいおいおい!!それでも栄光あるエゥーゴのMSかよ!?」

呆れなのか、怒りなのかわからない口調で、ブルーが叫ぶ。逃げるジムⅡを援護するようにネモの上空からの攻撃が激しくなる。

B「っち!逃げる仲間ぁかばう奴は嫌いじゃない。後でじっくり相手してやるから待ってな!」

突進している最中でも、巧みに左右へと回避行動を取るグレイの機体の間近には1本もビームの光は流れていかない。その最中も、ジムⅡとグレイとの距離は秒単位で近づいていく。

そして見えた前方のクレーター、本当は名前があるのだろうが、ブルーはそんなことを知る由もない。

そのクレーターの中にアルファ2は逃げ込み、グレイのロックオンも窪みで消えてしまった。

B「な~るほどね。そういうことする…じゃあ俺もそれなりの方法でやらせてもらおうかねぇ」

グレイが高度を上げようとするが、上空からの攻撃で容易ではなかった。



B「じゃかしい!!」

グレイのビームソードがさらに大きな剣となると、自分の上空をなぎ払った。

その瞬間、いくつか流れていたビームの矢が一瞬でなぎ払われ、上空からの脅威はなくなった。

その後は簡単だ。

高度を取ったグレイはクレーター内に入って攻撃のチャンスを伺っていたアルファ2を再度補足。一気に降下、距離を詰める…

ジムⅡ=アルファ2の頭部を左手で掴み(もちろん実際にはその空間にジムⅡどころかジムⅡの頭部もないが)月面の大地に叩きつけた。

B「臆病者がぁ!這い蹲って許しを請え!」

そのままクレーター内を突き進んでいく、シュミレーションとはいえ、リアルに頭部や胸部が月面の大地に削られて無残な姿になっていくのが見える。

頭部がボロボロになり、持てなくなったら背部のバックパックに持ち直し…胸部もコックピット部は既に削られてなくなっていた。

B「さぁてと!トドメは…君だね!」

上空から攻撃を加え続けていたネモは、既に放っていた。

無残になった両機が、自機が放ったビームが、貫いていった。

ネモからすれば、先ほどまでいたグレイに向かって撃ったはずのビーム。だが、一気に態勢を変えたグレイは、向かってくるビームの盾として、原型がもうないアルファ2を利用した。

アルファ2は月面に叩きつけられて、ボロボロになっている途中で、完全に沈黙している表示が出ていたが、逃げ回るアルファ2の行動が許せなかった。

B「ハッ!調子ずくからそうなるんだよ!。さて、最後はお前だな」

友軍機を撃墜してしまったのであれば、本来は動揺するはずだが、所詮シュミレーション。お構いなしに攻撃してくる。

B「その意気だ、さぁ楽しませてくれ」

すると、ネモ機体色がみるみる変わっていき…

緑色の機体色だったネモが、青いカラーリングとなった。

B「…なるほどね…」

見覚えのある。

いや、それ以上の機体。過去の愛機である。自分が乗っていたネモである。

B「色だけじゃあ…」

彼の言葉が終わる前に、ネモはライフルを捨てた。

B「ないよな。やっぱ」

グレイ・ブルーも、両手にサーベルを持ち、本来の彼のスタイルとなった。

B「シュミレーションで、どこまで俺の動きが見れるのかな?…ふふ」

操縦桿をいったん離し、彼は両手の骨を鳴らし、また乾いた下を舐めた。

沈黙を破っていた管制室のサトウが話しかける。

Sa「ブルーさん。楽しんでますね」

B「ああ?何でわかるのよ?」

Sa「こちらでモニターしてますからね」

ブルーの身体状況の結果、彼は楽しんでいるのがサトウに見えていた。

Sa「さきほどのジムⅡですが…」

B「ああ」

Sa「こちらのテストパイロットが、同じシュミレーションで戦闘させました。」

B「ハッ!もう少しマトモな奴をよこしな」

Sa「予想外でした。落ち込んでいますよ彼等。他のシュミレーションでは、トップのパイロットでしたからね」

B「実戦経験は?」

Sa「ありません」

B「じゃあ無理だな」

Sa「さて、過去の貴方のデータから、ネモを登場させました。手加減は…」

B「してこねぇよな?」

全て見透かされているような返事に、サトウはやはりこの男。ブルーの存在の大きさを再度痛感した。

Sa「では行きますよ?」

B「いつでも」

ネモのカメラアイが光だし、さきほどとはうって変わって全速で距離を縮めてきた。

ネモのブースターの火の跡は一直線にグレイに向かっている。

B「嬉しいねぇ。これが!!」

グレイ・ブルーのブースターも大きく火を噴き、ネモに向かって突っ込んでいく。

B「男の戦いだろ!」

青いネモと灰色のZガンダムのサーベルが、互いにぶつかり合い。

ビームの粒子が闇の宇宙に舞い散った。




G「…あれだ」

岩場に隠れながら、黒いリックディアスのゲール・ウェゼィンバーグが後ろの2機に話しかける。

S「ん?ああ、あれだね」

白いリックディアスに乗ったスティシーにも確認できた。

J「もうシュミレーション中か、こうやって見ると間抜けだな」

白と黒の百式にのったジョエルも追いつく。

彼等3機には、見えていない。無理もない、ブルーとアナハイム側にしかそれは見えていないのだから。

G「いいのか?これ以上接近するとフォンブラウン領だぞ?」

S「許可は取ってるんだろ?」

J「ん?…ああ、シリウスがやってる…と思う」

S「…はぁ…」

ジョエルのモニターから、ステイシーの落胆する様子が見える。これはきっと帰ったら…いや。今は考えないでおこう。

J「あ~~シリウス?どうなんだ?」

モニターにシリウスの顔が表示された。

Si「フォンブラウンには許可は取ったにゃあ」

Y「アナハイムには?」

Si「…これから…」

S「てめぇ!!」

Si「ひぃぃぃ!!!」

するとシリウスが画面から消えた。

S「あ!おい!コラ!…あんのクソ猫がぁ!」

G「落ち着け。これから取るんならいいじゃないか」

S「…ふん!わかったよ!」

距離にしておよそ8km、ほとんど米粒程度にしか見えないグレイ・ブルーがまるで闇に舞う黒き蝶のように見えた。

J「…相手が見えないが…いい動きしてるな」

幾度も態勢を切り替えてはすぐに攻撃モーションへ移る姿を、ジョエルは相手が空想の物であってもその動きがアグレッシブ、かつ無駄な動きが一切ないことがすぐにわかった。

S「?…ストライカーか。ライフルは…使ってないんだね。ふふ、気に入った」

同じストライカーとして、彼に興味が出てきたステイシー。
久しぶりに見る自分と同じ、零距離で戦う者。
彼女の中で、久しぶりに燃え上がる気持ちが湧き上がってきた。

S「動きに無駄がない。必要最低限の動き…いい腕してるよ」

彼女の言う無駄な動きというのは、サブスラスターなどによる方向転換などを言っているのだろう。グレイ・ブルーじゃAMBAC(Active Mass Balance Auto Control, アンバック)AMBACは能動的質量移動による自動姿勢制御で、宇宙空間で可動肢の一部分を動かすと本体は反作用を受けて逆の方向へという性質を利用し、姿勢を制御する手法だ。

J「あんなもんはストライカーの奴以外でも、誰でもできる。グリプスを生き抜いた男なんだ。そのくらい出来て当たり前だろ」

S「まぁそうだけどね。ジョエル。あんたは時折スラスターに頼る部分がある。あの動きは教本になるんじゃない?」

J「はぁ?俺は計算して動いてるの。お前こそ距離を詰める時の噴射剤を無駄に使ってるだろ?」

少し嫌味交じりな言葉で、ジョエルはステイシーに言葉を返した。
いい年しておきながら、まだ子供っぽいところがあるのは、この会話でもよくわかる。

S「なんだと!?今ここで勝負するか!?」

それはステイシーも同様だ。
そして、それを静観していたゲールが仲裁に入る。

G「いい加減にしろ…目的を忘れるな。隊長…あまりステイシーをからかうな。ステイシーも言葉に気をつけろ」

S「…わかったよ」

J「…ああ。すまなかったな」

いつも通りの会話。彼等が今までチームとしての活動の中で、常に繰り返してきた会話を聞いていたゲールは、何故か安心感すら感じていた。

G「シリウスからの連絡を待ちましょう」

J「だな」

S「りょーーかい」

そして3機は、グレイの舞を再度見学させてもらうことにした。




B「さぁ…昔の俺よ…楽しもうぜ!」

メインスラスターの火が強くなり、グレイ・ブルーは一気に距離を…

いや、それはネモも同じだった。

B「ハッ!やっぱ俺だわ!」

互いの距離は、一瞬で間合いに入り、サーベルのぶつかり合いとなった。

ネモは上段、グレイ・ブルーは下段からの攻撃。本来のブルーなら上段から始めるのがスタイルなのだが、彼は、きっと自分ならこうすると予想してでの攻撃スタイルに変えていた。

ビーム粒子のぶつかり合いで発生した大きな光で、その周辺の闇の空間は、光の空間に変わっていく。

バチバチと大きな炸裂音が空間全体に響いている。その音は何キロ先まで聞こえるのだろう?
ブルーはそんな事を考えていた。まだ余裕がある証拠だ。

上段と下段の攻撃が重なった後、すぐに2手、3手と攻撃を加えていく。

AEの管制室からモニターしているサトウには、若干ネモが押しているように思えた。

グレイ・ブルーが横一閃、なぎ払うようにサーベルを振ると、ネモはそれをかわし、グレイ・ブルーの胴体めがけて突きをしかけた。

B「おお!!??」

予想外というか、シュミレーションでの自分が思ってた以上に早く、そして正確な攻撃にブルーは驚いた。
だがその顔には笑みが浮かんでいた。

サーベルでの突きを行った、ネモの右腕は伸びきっている。

B「ハッ!」

待っていた時が来た。シュミレーションとはいえ、相手は自分のコピー。こちらの動きが回避、防御が続き、大きな隙を作れば…

B「仕留めにくるよなぁ!!」

伸びていたネモの右腕を、上段振り下ろしの形で一閃!

グレイ・ブルーはネモの右腕を切断した。



ネモもそれでは終わらなかった。左腕のシールドで、グレイを跳ね除け、シールドでグレイから死角を作った。

B「ちぃ!」

ジャマなシールドを排除しようと、グレイ・ブルーも左腕のシールドで、ネモのシールドを殴った。

しかしそれこそネモの狙い。相手側には自分が見えていないシールドの奥から、残った左腕でネモのシールドごと突きを行った。

シールドが貫通し、その奥にはグレイ・ブルーがいるはず。



B「おいおいおい。どこ突いてんだぁ?」

ネモのカメラアイが左を向く…と

振り切られたグレイ・ブルーの腕だけが見えた。

ネモからの画像を見ていたサトウは、そこでネモが撃墜されたのがわかった。

Sa「7分11秒…か」

今までどのテストパイロットですら二桁の数字はかかった。いやネモを撃墜できた者もごく僅かでしかいなかった相手を倒したのだ。
レベル設定もマックスになっている。反応速度も、ブルーが使用していたネモよりも早く設定していた。

正直な話。現在のAEで、このネモを一桁の数字で撃墜できる者などいるのだろうか?

サトウは驚愕しながらも、今の戦闘のデータ収集を開始した。


グレイ・ビームサーベルの光が消え、戦闘モードが解除された。

B「…ふぅ」

やはり少し緊張していたのだろう。安堵の息を漏らすと、彼はヘルメットを外した。

B「反応速度が…いや全てにおいて桁違いだ。さすがガンダムタイプってとこか?」

誰に話すわけでもなく、一人それを実感したブルーは、新たな愛機の操縦桿を手でさすった。

B「よろしくな…相棒さん」

月の重力に引かれ、グレイ・ブルーが月面に着陸する。

月面の白い大地の中、目立つ灰色のZガンダム。

これから始まる戦いの前。少しだけ穏やかな時間が、その空間を包み込んでいた。
スポンサーサイト


この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。