ある日、ふと思い出した昔の暖かい思い出。 そんな事を小説にしてみたい! そんな男の場所です。


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「月空に舞う」
B「ふぅ…」

安堵の息をもらしたブルーの上空、どこまでも続く暗く、吸い込まれてしまいそうな闇の宇宙が広がる。

宇宙にいる時、上か下かもわからずに、もう戻れない感覚。まるで明けることのない夜が永遠に続くような恐怖を感じることがあった。

でも今は大地に足をつき、月面に立っている。

戦争は終わっていない…

アクシズ軍は、まだその強大な戦力を保ち、いつその刃を向けてくるかわからない。

エゥーゴ、カラバでも様々な対応を考慮している。
新たなフラッグシップマシンの開発、量産機の性能向上、新型戦艦の開発、艦隊の再編成…

考えてしまうとどんどん頭が重くなってえいく。



今はそんなことは考えたくない。
この静かな時間が永久に続いてくれること。そのことだけしか考えたくなかった。




AEの管制室のざわめきは、ネモが撃墜されてから数分で収まった。
エンジニアや、メカニック達はそれぞれの持ち場に戻り、普段の管制室の音だけが、部屋に響いている。

管制室のドアが開く。

シュミレーションは終了し、もう見学するものなどいないはずだ。

Sa「誰ですか?」

サトウはドアの方を向くと、見慣れた男が立っていた。

K「?終わったのか?シュミレーションは」

Sa「先ほど」

K「そっか~…久しぶりに見たかったんだがな」

その男は、頭をかきながら、管制室のシュミレーション記録を見始めた。

K「どうだった?Zの方は?」

Sa「ええ、基礎運動のプログラムに彼のデータを加えただけですが、オリジナルよりも反応速度が上がってますよ」

K「ほ~~」

そう聞くと、その男は月の周回2週目までを早送りで見る。

K「さてどんなもんかな?」

戦闘シュミレーションのみしか興味がなかったらしい。

戦闘開始。



サトウは引き続きデータの収集を開始し、その男はモニターから目をそらさずに見入っていた。

K「…ん~」

時折、何か不満でもあるのか、何かを発見したのかボソボソと呟いてはモニターを見続ける。

アルファ2をボロボロにしたところまで見ると一旦再生を止めた。

K「なぁ?設定が少し甘いんじゃないのか?」

男が振り返り、サトウを見る。

Sa「彼が設定したんですよ。当初の設定よりももっと細かくね」

K「旋回速度や、急加速をもっと早くできるな。こいつの腕ならな」

Sa「そうですか?今でも十分に…」

サトウの言葉を遮るようにその男は話を続けた。

K「データ上では、オリジナルよりも上かもしれん、だが、オリジナルと今のグレイを実際に戦わせれば100%負けるぞ」

Sa「…」

K「早く戻らせよう、俺も奴と共にもう一度設定を見直す」

Sa「了解しました。あ!カズン中尉」

カズンと呼ばれた男は、ネモとグレイの戦闘シーンを見ながら聞き返す。

K「ん?」

Sa「今日はオフなのでは?」

カズンはモニターを見ながら、小さな声で答えた。

K「…帰る家も、待っている人も俺には無いんでな」

その表情を見ることはできなかったが、サトウは自分が問うた言葉を後悔した。

Sa「あっ…すいません」

K「いいんだ…俺は戦場の中でしか生きられないような男だからな」

Sa「そんな…」

K「気にするなよ。あっあと今の事、あいつには言うなよ?」

言うと何かあるのか?サトウは疑問に思ったが、それ以上の詮索はしないでおこう。そうして、またサトウは作業に戻った。

数分後

管制官「ん?何だ?」

Sa「?どうした?」

管制官「フォンブラウンの南東、SW5580付近、熱源を感知。機数は…2…いや3!」

Sa「シグナルは?エゥーゴや連邦の機体がそんな場所にいるはずが…」

管制官「シグナル…ブルー。エゥーゴの機体です。SW4780、ブルー機に近づいていってます」

Sa「何故エゥーゴの機体が?付近に艦隊はいるのか?」

管制官「エゥーゴ第2艦隊所属のアカギがいます」

Sa「どういうことだ?」

今まで黙って聞いていたカズンがモニターを見るのを止めて、立ち上がる。

K「許可もなくフォンブラウンの領空に侵入する気か…フォンブラウンに確認を取れ」

管制官「りょっ了解!」

そういうとカズンは床を軽く蹴って、ハンガー方面に向かっていく。

Sa「カっカズン中尉!どこへ?」

K「決まってるだろ。出迎えだよ」

Sa「まだ敵とは決まってませんよ!?」

K「敵だったらどうする?非武装のグレイに何ができる?」

Sa「あっ…」

冷静に状況を考えればそうだ。仮に友軍機であっても目的が不明すぎる。

ハンガーについたカズンは、自分の愛機であるリックディアスに搭乗する。

K「…目的はわからんが、黙ってられるわけでもない…」

自分の愛機の操縦桿を強く握り、彼はヘルメットを被った。

黒と赤のリックディアスのメインジェネレーターが稼動し、台座がカタパルトまで移動を開始する。

K「メインジェネレーター、チェック。スラスターアクティブ、問題なし。」

カタパルトまでの移動の間、全てのチェック項目を淡々とこなしていく。それは一年戦争からパイロットをやっていたカズンにとっては、いつもやってきたことだった。

一年戦争…

彼は連邦軍 欧米方面第2方面軍、第1MS大隊の2番機として配属され、欧米での激戦区を生き抜き、オデッサ、ジャブロー、キャルホルニアと一年戦争の地上での大規模な戦闘に参加。戦場が宇宙になると、第3宇宙艦隊配属 第2MS大隊の2番機としてソロモン、ア・バオア・クーの戦闘に参加。

しかしア・バオア・クーにて、彼の所属する部隊は全滅。
彼の母艦であったサラミスも撃沈され…

敵、味方共にどこへいけばいいのかわからない状況が続いた。

戦闘終了後、混乱が続く中、彼の部隊は全滅という報告のみで、未帰還だった彼を、連邦側は捜索もしなかった。

カズン・イェーヘン少尉(当時)はMIAとされ、一年後にはMIAから戦死、連邦内では2階級特進の大尉となっていた。

遺族報告をしようとした連邦だったが、彼の家族は一年戦争時に既に全員他界していた。唯一いた弟ケビン・イェーヘンも連邦軍空軍に所属していたが、オデッサ攻略作戦中、撃墜され戦死していた。

その後、遺族への賠償もない都合のいいMIAとされたカズンの記録は抹消され、事実上死んだ男となっていた。

実際は、愛機のジムコマンド(U)が中破し、宇宙を漂っていた所、グラナダ方面へと逃亡中だったジオンの艦隊に救助されていた。

グラナダに着いた彼はまもなく解放され、その後、連邦で自分のIDや記録が抹消されたことを知り、軍には戻らなかった。

その後、経歴を買われコロニー外、外宇宙にてコロニーの障害となる隕石やゴミを排除する仕事に就く、これがブルーとの出会いとなる。そして30バンチコロニーにて生活、愛する人もでき…子供も授かった。

しかし…

彼がフォンブラウンに呼ばれ、AEのシュミレーションのテストパイロットに選ばれたことが決定した日。30バンチはティターンズの毒ガス攻撃で壊滅した。

彼は生きがいを無くした。

家、家族を失った彼。そんな時にブルーからエゥーゴへの参戦を求められた。

全てを失った彼、それを行った者への復讐もあったのだろう。断る理由は何もなかった。

ジャブロー降下作戦以降、ブルーと共に戦った。

彼はアサルトストライカータイプで、ライフルとサーベルの両手武装がスタイル。そして彼の攻撃対象は、彼の姿を見ないまま撃墜されることと、彼の愛機のカラーリングから「ディアブロ・ストライカー」と呼ばれた。

発進準備が完了した頃、カズンのモニターに通信が入った。

A「どっどうしたんすか?今日は非番でしょ?何してんすか?」

小柄の男がいそいそとパイロットスーツに着替えながら、カズンを呼び止めた。

K「アルか…お前も今日は非番だろ?」

A「そっそうですけど!ブルーのシュミレーション見にきたら、もう終わってるわ!カズンさんは急いでハンガーいっちゃうわ!事情がわかんないっすよ」

K「俺にもわからんが。どこかの狂った奴が、ブルーに近づいてるらしい」

A「はぁ?シグナルは?」

K「ブルー。エゥーゴの機体らしい…がな。目的がわからん。とりあえずグレイのところに向かう」

話しながらも、自機のチェックを全て終わらせ、カズンの機体はカタパルトについた。

A「ちょ!俺も行きますよ」

K「なら早くしろ。奴等の方が早い」

A「わかりました!」

カタパルトについたリックディアスの右側、発進準備のライトが点滅し…ライトが青に変わる。

K「全てのチェック項目クリア。カズン・イェーヘン。リックディアスAS。出るぞ!」

カタパルトが一気に加速し、リックディアスのバインダーユニットから勢いよく火が上がる。

K「…はぁ…」

発進が完了し、一気に高度を上げるリックディアス。先ほど発進したカタパルトもみるみる小さくなっていく。
緊迫した空間が、コックピット内を包む。しかし、カズンは安心感を感じていた。

K「やはりこの空間…これが俺のいるべき場所なのか?」

何か、心の中が満ちていく思いを感じながら、カズンは操縦桿をさらに前に押す。

リックディアスもそれに応え、さらに加速していく。

Sa「フォンブラウンから確認が取れました。どうやらアカギのMS隊が演習を行うそうです。」

K「演習?」

Sa「ハイ。許可は数刻前に取れていたようですが…」

K「何故AE側に許可を取らないんだ?」

Sa「そうで…あ!今、相手側より演習許可がきました!内容をそちらに転送します」

K「ああ」

送信主

エゥーゴ第2艦隊所属 アイリッシュ級5番艦「アカギ」 OPシリウス

「当方のMS部隊、完熟訓練のため、SW5500付近にて演習を行う。フォンブラウンからの許可申請受諾コード01197854。」

K「今更許可を取るとは…」

カズンは操縦桿を強く握り締める。その表情には先ほどまでの安堵感は見られなかった。

Sa「ダメです。何度も試みてるのですが、オールアウトしてるようです」

K「ちぃ!ターゲットがグレイに到達するまでの時間は?」

Sa「ミノフスキー粒子が濃くなっているようで、確認できませんが、先ほどまでの進行速度から考えるとおよそ5分」

K「こちらからは10分…ブルーなら5分はもつだろうが…引き続きブルーへの通信を行ってくれ!」

Sa「了解しました!」

カズンのリックディアスは高度を下げ、さらに加速。

K「…目的不明か。まぁいい。どちらにせよお引取り願おうか」

彼の機体は迷うことなく、戦友の下へ向かっていった。

同時刻

A「ったく!こっちも久しぶりの休暇だってのに!」

アル・フェルドは、小声でブツブツと文句を言いながらも、彼の愛機であるネモの全てのチェックを行っていた。

A「あ~~もう!15時までには帰りたいなぁ。今日は約束があるのに!」

アルは、マイクがオンになっている事に気付いていなかった。その会話は全ての者に聞こえていた。

K「約束があるのならかまわんぞ?3機程度なら、俺とブルーで十分だからな」

彼は、初めてマイクが入っていたことに気付くと、あたふたしながらもチェック項目を全て終わらせた。

A「え!?あ~~~、まぁそんなこと言わずに。チームなんですから!」

K「…まぁいい。来るなら早くしろ。あちらさんの方がこっちよりも早いんだからな」

A「わかってますって!」

カタパルトが定位置に着き、アルのネモのバックパックの火があがっていく。

A「どこのバカだか知らないけど、ブルーさんに手出すなんてな」

Sa「目的は完熟訓練だけとは思えませんね。明らかにグレイの訓練を読んでの行動としか…」

A「まぁ何にせよ。こっちも3機。ただじゃあ帰れないってことさ」

発射準備完了のシグナルが点滅から青へと変わる。

A「よし!アル・フェルド。ネモASn!出るぞ!」

右手に大きなアサルトスナイパーライフルを持った、アルの機体が勢いよくカタパルトを進み、月の上空へと飛び立った。

A「離陸成功、これよりブルー機支援のため向かいます」


アル・フェルド少尉

所属 エゥーゴ

一年戦争時は、まだ学生で、一年戦争後に地球連邦軍に所属。
ティターンズ入隊試験をトップでクリア。当初はティターンズに所属。

しかし各コロニーに対する弾圧や、非道の限りを尽くすティターンズのやり方に疑問を抱き。ティターンズより逃亡。

その後、地球でブルー達と出会い、エゥーゴの主張に賛同。エゥーゴへの仮所属となる。当時の監視はブルーとカズンの二人で、出撃する際に彼等二人と行動するうちに、いつの間にか彼等の小隊編成に必ず組み込まれることとなった。

戦闘で熱くなりすぎるブルーと、戦況を見極め、冷静な対応をするカズン。そして明るい性格のアルの三人。アル自身も思ってもいなかったが、この三人が一番しっくりくる編成となっていた。

アルの戦闘スタイルはアサルト・スナイパー。

当初はクレイ・バズーカとビームライフルを使い分けていたが、試作武器のテストを行った際に渡されたスナイパーライフルが好みにあったらしく。それ以降は中、遠を主体とした戦闘を行うこととなった。

彼の武器であるEBW-001 「ロング・ホーン」は、実弾とビームの双方の砲門を持つ複合ライフルで、実弾での速射、狙撃。ビームでの貫通狙撃など多種攻撃が可能な兵器ではあるのだが、その分重量があるのと、取り回しが難しい上、地上では扱いにくいとされた。

しかしバランサーの調整と、彼の操縦技術により問題を克服。今ではこの武器以外は持たないというまでになった。

彼の戦跡は、キリマンジャロからで、その後は宇宙の大規模作戦にブルー、カズンらと共に参加。彼等二人の支援攻撃担当となっている。

また仮所属から正式所属に変更になった後、彼単独での狙撃ミッションも多く。彼の最も大きな戦果は、メールシュトローム作戦直前の単独狙撃ミッションで艦隊の展開の時間稼ぎというものだった。

彼の狙撃で、サラミス改2隻、グレイ・ファントム級1隻を単独で撃沈。さらに展開する艦隊のメインブースターの一部にダメージを与えた。

またメールシュトローム作戦中。コロニーレーザー前に配置されていたアレキサンドリア級の戦艦を沈黙させるなど、狙撃の腕はエゥーゴでも随一のものであった。

しかし、近距離戦闘が苦手な部分と、パニックを起こすという面があり。その際には前衛の二人がカバーするという事もあった。

二人はその事に関しては何も言わなかった。

彼等の無言の中にあった「信頼」をアル自身強く感じていた。


A「さぁて、今日はどんな奴が来るのかな?」

K「お気楽な奴だ。もしかするとお前以上の腕かもしれんぞ?」

A「はは!その時はその時ですよ!」

K「ふっ…」

カズンとしてもアルの支援無しでは十二分な戦闘が出来ないことを理解していた。それにどんな強敵でも、この三人であれば勝てる…何故かそんな風に思えてしまう。カズン自身、それを否定したくても本心ではそう思ってしまうことが不思議でならなかった。

K「早く来い!どこの奴等だろうが、ブルーはやらせん」

A「了解!」

カズン機に遅れること3分。アルの機体もブルーの下へと向かっていった。




その頃ブルーは、静かな時間を満喫していた。

B「…」

満喫するというより、完全に寝てしまっていた。

通信はオールオフにし、戦闘モードも解除。モニターには、周囲の白い大地と宇宙の闇。まるで白黒モニターを見ているような錯覚に陥る。

B「ん…ん~~~…あ…またか…」

何時からか、彼は緊張の糸がほぐれると、寝入ってしまうクセがついてしまっていた。会社の会長席にいても、隙あらば寝てしまう。

B「ん~~~~~~っと」

大きな背伸びをして、周囲を見回す。先ほどから変わらない景色のみが見えている。

B「さて、帰るかな」

スラスターに火がつき、グレイ・ブルーのカメラアイが光りだす。
ナビゲーションシステムがAEの工場方面。つまりはフォンブラウン側への方向を指示し、モニターに矢印が表示される。

B「今頃カズンがシュミレーションを見てる頃かな?アイツのことだからなぁ…「50点だな…」とか言いそうだな」

そう言い終える表情は少し笑っていた。

メインジェネレーターの数値が上がり、稼動準備が整う。

B「ふぅ…さてさ…あん?」

モニターの左側で何か光った。
この空域には、現在フォンブラウン管轄の外宙作業は何もないはず。

B「なんだ?」

グレイがその方向を向き、サーチを始める。

B「…!?」

彼は今までの戦闘での直感で、グレイを急速後退をさせる。
何かが来る。そう感じた。

その瞬間!

グレイがいた場所に閃光が走る。

B「…っち。くだらねぇどこのアホだ?」

グレイのモードを戦闘モードに切り替える。武装は大型のビームソードのみ。しかも出力調整ができておらず、不安定な状態となっている。

B「俺も年くったのかな…あの距離まで近づかれて気付かなかったか…情けねぇ」

光。つまり発砲された事に気付いてから着弾の時間を計算し、おおよそ8~10kmほどに敵がいるということを察知したブルーは、射線の死角になる場所をみつけ、戦況分析を行っていた。

B「狙撃ポイントは…?」

ブルーは射線から割り出した位置の地形を確認する。

B「っちぃ…トレンチだらけじゃねえかよ」

狙撃ポイントとなるような窪みが多数ある月面において、狙撃ポイントを割り出すのは非常に困難だった。

B「まぁいい…どうせ移動したはずだ。こっちも動くか」

この時、ブルーは自分が通信をオールカットしてることに気付いた。
いくら歴戦のパイロットとはいえ、相手の数がわからない状況の中で戦闘をしかけるのは得策ではない。

B「こちらブルー…AE管制室。聞こえるか?」

しかし雑音が聞こえるだけで、通信は繋がらない。

B「っち!ジャミングされてる?少しでもAEに近づかないと…」

妨害電波なのか、敵が散布したミノフスキー粒子の影響なのか…しかしそれは問題ではない。今は少しでもAE工場の近くまで移動することが優先された。

ブルーは再度地形情報を確認し、敵がトレンチ(窪み)の中から狙撃してくるのなら、クレーターなどを利用し、狙撃の死角から移動するしかない。

敵の狙撃ポイントを予想し、移動ルートを選んでいく。

B「…全速で移動するか…狙撃の死角にならない場所は…4箇所。こいつでなら行けるか?」

しかしこれ以上考えても仕方がない。まずは手前にあるクレーターの側面に回り、その後、クレーターを盾にしつつもう一つのクレーターに移動。その繰り返しでいくしかない。

相手も移動するはずだし、空中に浮いて、移動しながらの狙撃では狙撃精度が下がる。一度地に降りてからの狙撃をしてくるに違いない。

ただ…それは相手が1機ならばの話。複数いた場合、自分が移動しているのを足止めされたら、先に相手が狙撃ポイントに着いてしまう。

ある意味でのカケだった。

B「考えてても仕方がねぇ。相手より先に動くしかねぇな」

グレイの機体が動き出し、最初のクレーターの側面に回りこむ。

ここまでは問題ない。発砲もしてこない。

1回目の死角から見えてしまう場所に来ても、相手に動きはない。

見失ったのか?

いや…

既に動きを読まれている?

今まで多数の戦場を生き抜いた男の勘は…

後者を選んでいた。

そして二つ目のクレーターを目視した時、後方警戒の音がコックピット内に響く。
相手の方が上手だ!
最初の警戒音が鳴った直後、左へ大きくコースを変更。グレイが通り過ぎた場所に3発の閃光が通りすぎていく。

B「うまいな…だが!」

そこから全速で第2クレーターの影に入り込む。
狙撃は続いてこない。相手も移動してるのだろう。
速度を落とさず、一気に駆け抜けていくグレイ。

そして一番危険な場所。平坦な地が続く場所を全速でも1分は移動しなければならない箇所に来た。

既に自分の後方の地形は複雑すぎて、狙撃ポイントを絞り込めない。

グレイはさらに加速していく。
狙撃されぬようにジグザグに進んでいくと。

また後方警戒の警報が鳴る。

B「っく!」

右に避けるつもりだったが、自分が移動しようと思う先に閃光が走りぬけ、思うような回避ができない。

B「…へぇ遊んでくれるのかい…ナメた真似してくれるじゃねぇか」

後30秒…

狙撃されながらも、いくつも弾を避けて目標のクレーターに近づいていく。

20秒

15秒

モニターの左右には閃光がいくつも通過していき、序所に狙撃精度も上がってきている。

グレイはここで左腕のシールドの先端を地面にこすりながら移動を開始した。

砂煙が上がり、相手の視覚を奪うためだ。

砂煙を上げた後、狙撃はピタリと止んだ。
次のポイントに移動しているのだろう。

だが、ここでブルーは方向を変え、目の前にあったクレーターの影の中で停止した。

グレイがレーダーで相手を感知できないのであれば、相手もまたミノフスキー粒子の干渉で、レーダーで見えないはずだ。

ならば、ここで待ち伏せて、一気に距離を縮めて反撃をする。

再度位置を確認すると、ブルーは少し驚いた。予定のクレーターと思っていた場所よりも離れていた。

B「…」

何か嫌な感じがする…

B「何だ?」

クレーターの影から、狙撃主の姿を確認しようと少し前に出た時!

B「何!?」

上空からの警戒音が鳴り響く。

B「2機か!?」

後方の上空よりビームの光が向かってくる。しかしそれは先ほどの狙撃よりも精度は悪く、当たりもしないような攻撃だった。

グレイはそのまま奥へとバックで移動し、今攻撃してきた奴の位置を確認した。

だが…

気がつくと狙撃主からの死角になるような遮蔽物はなくなっており、相手からは丸見えの場所に来てしまっていた。

B「誘導されたか…」

先ほど攻撃してきた奴のブースターの光が見えた。こちらの様子を見ている。

誘導に成功した後は、ゆっくりと狙撃主に料理してもらいな。といいたげな感じがした。

B「ちっ…なめやがって」

遮蔽物はない…

避ける自信はあるが、もう1機の動向がきになる。

B「…」

焦るな…焦っただけ相手にそれが伝わってしまう。

あれだけの腕の持ち主だ、きっとそれがわかるはず。



どれだけの時間が過ぎた?

ほんの数秒なんだろうが、それが何時間にも思えた。

そして…

グレイから3時方向、光が見えた!

B「きたな!」

3時方向に方向転換し、グレイの右側のショルダースラスターから火が吹き、左側に大きく避けた。

B「!?」

しかしビームは来ない…その直後!

自分の背後からの警報がなる。

B「ダミーか!」


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